【加筆修正版】:「色彩のみからなる商標」とは?商標にも様々な種類があります

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Last Updated on 2022-11-07 by matsuyama

※この記事は2019年に作成したものを加筆修正したものです。ロゴや文字でなくても商標になることもあるんだ!という発見につながれば幸いです。

こんにちは。
今回は商標の中でも最近認められるようになった、「新しいタイプの商標」についてご紹介したいと思います。
まず、新しい商標と聞いて、商標自体聞き慣れない方は余計に何のことだか…と思ってしまいますよね。
基本となる「商標」について、特許庁では以下のように説明しています。

目次

まずは基本から:商標とは何か?

商標とは、事業者が、自己(自社)の取り扱う商品・サービスを他人(他社)のものと区別するために使用するマーク(識別標識)です。 (中略) 商標登録出願を行う際には、「商標登録を受けようとする商標」とともに、その商標を使用する「商品」又は「サービス」を指定し、商標登録願に記載することになります。
商標法では、サービスのことを「役務(えきむ)」といい、指定した商品を「指定商品」、指定した役務を「指定役務」といいます。この指定商品・指定役務によって、権利の範囲が決まります。

商標制度の概要  特許庁HPより抜粋

また、商標法での「商標」の定義は以下のように書かれています。

この法律で「商標」とは、人の知覚によつて認識することができるもののうち、文字、図形、記号、立体的形状若しくは色彩又はこれらの結合、音(中略)をいう。

商標法2条

このように、商標というのは基本的に視覚でとらえるマークや文字、そしてそのマークや文字をどのような目的で使いたいのかをセットにして登録されます。例えば、CMで耳にする「ワシのマークの大正製薬」、という言葉がありますよね。大正製薬のシンボルマークはその通りワシが翼を広げたあのマークなのですが、このマークと役務(サービス)のひとつである「薬剤」とをセットにして、商標権として権利化しています。(※役務は複数取ることができます。多くの商標は複数の役務を申請して幅広い分野で自己の商標を守る方法を採っています)

こうしたわかりやすいマーク(図形商標)の他、文字だけの商標(文字商標)や、文字とマークを組み合わせた商標などはよく目にするところです。
しかし、商標といってもそれだけではありません。コンテンツの多様化や技術の進歩、時代の変化に合わせて商標も多様なニーズに対応するため、平成27年から出願受付が開始されたのが「新しいタイプの商標」です。この「新しいタイプ」というのは、以下のように分けられて申請できるようになっています。

  •  色彩のみからなる商標
  •  位置商標
  •  動き商標
  •  ホログラム商標
  •  音商標

今回は、このうち「色彩のみからなる商標」について、実際に認められた例を踏まえてご紹介していきます。

「色彩のみからなる商標」とは?

特許庁ではこの色彩のみからなる商標について、
単色又は複数の色彩の組合せのみからなる商標(これまでの図形等と色彩が結合したものではない商標) 」
と説明しています。

色や、色の組み合わせ、グラデーションなど色の持つ情報だけで「これは〇〇だ!」と認識できるようなものに認められます。

例えば、トンボ鉛筆の「MONO消しゴム」の青・黒・白のストライプや、セブンイレブンのオレンジ・赤・緑・白のストライプの色の組み合わせは、見ただけで多くの人が「おっ、これは」と思うのではないでしょうか。実際にこの2つは、現在色彩のみからなる商標として商標権を取得しています。

モノ消しゴム | 株式会社トンボ鉛筆 今週の新商品

ここで特徴となるのは、「色だけ」ということです。

つまり、具体的な形を持たず、単色あるいは色の組み合わせだけで「これはMONO消しゴム」「これはセブンイレブン」と認識できると認められた、ということです。

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色だけで商標が認められるということになると、簡単に取得できてしまってはあらゆるところで権利の濫用が起こってしまうことが考えられます。そこで、色のみに商標権を与えるにあたっては基準が他の著作権の認可より厳しいものになっています。商標法では、以下のような条件をつけています。

色彩のみからなる商標を構成する色彩を特定するための色彩名、三原色(RGB)の配合率、色見本帳の番号、色彩 の組み合わせ方(色彩を組合せた場合の各色の配置や割合等)等についての具体的かつ明確な説明が記載されている場合。

商標法5条4項

このように、「色彩が特定」され、その組み合わせ等について具体的に説明されているものは、「色彩のみからなる商標」として認められる可能性があるということですね。さらに商標権に共通する条件である「識別力」(商標法3条1項)があると認められれば、晴れて商標として登録されることになります。

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この記事を書いた人

特許事務所での実務を活かして、知的財産にまつわるあれこれをご紹介していきます。

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