Last Updated on 2014-05-30 by matsuyama
こんにちは、
弁理士松山裕一郎です。
今日は「オールフリー」の最終回です。
それでは、「オールフリー」という商品の開発には、どのような知財の維持が見られるのか、見ていきましょう。
(3)知財の維持
オールフリーでは、種々知財を、コンセプトに沿ってコーディネートすると共に消費者のマインドに沿って修正しています。そしてこれらを特許や商標など種々知的財産権で保護しています。
このようなこと自体は当然と言えば当然ですが、知的財産権ではない保護の仕方がありますね。それば先行者利益による保護のうまさだと思うのです。まぁ、これについても不正競争防止法などで保護されるものではありますけど。
やはり特筆すべきはパッケージデザインです。キリンフリーの後追い商品であったにも関わらず、普通のビアテイスト飲料とは違うデザインとすることであたかも先行商品であるかのような装いを作りあげました。そしてこれこそが確固たる先行者利益を得る最大の強みになったと思うのです。
普通であれば先行者利益を得るのは「キリンフリー」の方でしょう。しかし、キリンフリーはビールらしい商品なのです。そこを突いたのが「オールフリー」で、ビールらしくない商品とすることで、ノンアルコールビアテイスト飲料の新境地を開き、それにより先行者利益を確立したと思うのです。
パイオニアであることを消費者に理解させればそれでいいというわけではないですが、さすがサントリーですからその後のブランド化におけるプロモーションが素晴らしく、消費者への浸透力が優れていたので、商品の保護力が高くなっていると思います。
このように商品の競争力を保護するのはなにも知的財産権だけではありません。もちろん知的財産権はしっかりと確保することが必須ですが、それだけに固執するのではなく、ブランド化をうまく活用することが重要です。そしてブランド化においても上述のプロトタイピングが非常に効いているのではないかと思います。
(取材協力 新井隆)
ではでは
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