Last Updated on 2013-04-04 by matsuyama
先日、受験生の方から、今年の特許の問題Iについてメールをいただき、話をさせていただきました。
問題(1)では分割を書くべきかどうかということが問題になりました。私は直接受験機関の説明を聞いたわけではないので不正確なコメントになるかもしれませんが、どうも受験機関の説明では、分割を書くのかどうかということだけを問題にしていてその背景にある事柄に気を配っていない、もしくはきちんと受験生に伝えていないのではないか?と思ってしまいます。
この問題に対する私の見解は以下のとおりです。
・問題Iで特許庁の論点としては補正と分割しか挙げられていませんが、本問ではそれらの当然の思考の前提若しくは背景として単一性が問われていると思います。私に言わせれば平成17年の問題の焼き直しです。
(1)については以下のような思考の流れになると考えます。
①請求項1に新規性なし→削除補正
↓
②請求項2(発明Pを含む発明)はこれで目的を達成できるのでそのまま残す
↓
③目的達成のためには新たにA+C(発明P’)をクレームアップ
↓
④発明Pを含む発明と発明P’とを対比すると両者は新規性のないAにおいての
み共通
よって、単一性を満たさない
↓
⑤両発明は分割しておいた方がいい
このような思考の流れを条文に即して説明することが必要なのであって、各論点が書いてあるとないとかいうことを独立に論じることに何の意味があるのでしょうか?
ちなみに私は③まで書いてあれば落第点はつかないと思います。
私はゼミでリーガルフローチャートを作成してもらっていました。実務上も自分でフローチャートをかけるということが重要なので、思考の流れを自分で構築することができるようになるための訓練としてです(たぶんリーガルフローチャートを最初に受験指導の場に持ち込んだのは司法試験の伊藤真先生だと思います。私のも真似です)。実務に精通されている方は意識していなくても頭の中でフローを書いてクライアントに選択肢を提供している(または手を打っている)と思います。
受験機関は、もうそろそろいいかげんに上っ面の論点表だけで話をするのはやめて受験生に本質を考えさせることもやっていかないと、受験機関が弁理士のレベルを下げているといわれるのでは?