論点再考

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Last Updated on 2013-04-05 by matsuyama

意匠の利用侵害について考えてみたいと思います。
学習机事件で「利用関係があるから侵害であり差し止めできる」という判断がなされたことで論点としてよく答案練習で見かける論点です。

答案練習では、部品と完成品との関係において問う問題をよく見かけます。
部品と完成品とは非類似物品なので侵害とは言えないが、完成品は部品を利用しているから侵害と言えるという具合に使うわけです。

このような使い方も悪くないのかもしれません。が、学習机事件の判決では、権利品も侵害品もともに机で同一物品だが、形状が非類似の場合にあって、利用関係が成立するから侵害であると言っています。そうです、判決の事案は部品と完成品との関係にあるわけではないのです。部品と完成品との関係であれば、完成品を制作する際に部品を購入したり製造したりすることで当該部品の登録意匠の実施に該当するので、特に利用関係を論じるまでもなく侵害であるといえます。しかし当該判決の事案は、単なる机と書架付き机とのように部品と完成品との関係にないような場合であり、書架付き机の一部としての机部分について製造・販売などの登録意匠の実施であるといえない場合になんとか侵害であることの理論構成をしようとしたものだと思います。

だとすると、当該判決の趣旨を鑑みれば、単なる部品と完成品の事案であればわざわざ利用関係を持ち出す必要はないといえます。
もし本試験で出るとすれば、部品のようにそれ自体で登録意匠の実施とは言えない事案で出ると思います。
私は、部品と完成品との形で問題が出された場合には部品の実施で侵害を認定した方が無難だと思いますが、いかがでしょうか?

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特許事務所での実務を活かして、知的財産にまつわるあれこれをご紹介していきます。

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