Last Updated on 2024-07-01 by matsuyama
知財とはなんぞや!
様々な定義があると思います。広辞苑(第6版)には「知的財産権」はあるものの、「知財」「知的財産」の項目はありません。
コトバンクによると、「知的財産」とは「知的創造活動によって生み出された財産的価値を有する情報」と定義されています。
知財業界といっても、いろんな業務があると思います。
例えば、以下のようなお話があるかなと……
『経営に知財戦略が必要って・・・どういうこと?
登場人物紹介
香澄(25歳):新人コンサルタント、大学院でビッグデータを活用した広告効果について研究し、修了後、このコンサルファームに就職したコンサル1年生。まだ、経営コンサルについては右も左もわかりませんが、やる気だけは人一倍。ビッグデータを扱っていたので、情報を活用することの重要性には人一倍敏感。
藤堂(45歳):シニアコンサルタント、香澄の上司、数々のビッグプロジェクトを成功に導いてきた凄腕コンサル。弁理士でMBA。野中郁次郎先生の信奉者で、「知識こそが経営の基盤である」が座右の銘。
渕田(40歳):老舗和菓子屋さんの5代目。先代が亡くなり、2年前に会社を引き継ぐ。往年のヒット商品「ドラブッセ」のおかげでそこそこの経営はできているが、人気に陰りが見え、これからシュリンクすることが想定される。そこで、会社を発展させるために、大学の先輩の藤堂を頼って相談。
香澄と藤堂が務める経営コンサルティング会社に渕田さんが相談に来ました。どうやら、新商品の開発で悩んでいるようです。
藤堂:やあ、渕田さん、こんにちは。紹介しますね、こちらはうちの新人で「香澄」です。
香澄:宜しくおねがいします。
藤堂:渕田さんのところに参加させてもらって勉強させますので、よろしく、もちろん私が全部見ますから安心してください。
渕田:ああ、大丈夫です。宜しくおねがいします。それで藤堂さん、今日伺ったのは、新商品の開発が全く上手く行かなくって、どうしたものかと。
藤堂:なるほど、財務周りの整理がついたのですね、それで商品開発に乗り出したわけだ。で、どんなものを考えたのです?
渕田:それがほんとに全くまとまらなくて、商品コンセプトさえも決まらないのです。
藤堂:知財戦略はたてましたか?
香澄:藤堂さん、コンセプトも決まっていないのに、戦略は立てられないのではないですか?
渕田:そうですよ、戦略どころでは・・・。
藤堂:いや、そういう誤解が多いですね。
香澄:誤解、なのですか?
藤堂:そう、2つの点でね。まずは、新商品を開発するということは、何をしますか?
渕田:なにを言ってるんです?新しい商品作るんだから、新事業を行うに決まってる……あ、そうか
香澄:え、何ですか?ついていけてないです。
藤堂:うん、新事業を行うということは新事業を行うための戦略の立案が必要ということだよ。
渕田:そうだ、そうですね。
香澄:でもー、コンセプトさえも決まらないのに戦略が決まるのですか?
藤堂:そう、コンセプトを決めることも戦略の一部になるんだよ。この戦略を決めて行動しないと、わけが分からなくなって、結局頓挫してしまう。特にチームで動く場合はね。
香澄:そういうものなのですね。じゃ、1つ目の誤解は、まず戦略を立てないと何事も進まないことを理解しよう、ということで大丈夫ですか?
藤堂:ああ、大丈夫。
香澄:じゃ、2つ目は?
渕田:知財の位置づけ、かな?
藤堂:そうです。さすが渕田さん。
香澄:事業戦略の中で知財の戦略が重要ということですか?
藤堂:それだけじゃない。一般に知財というと知的財産権だけを指すことが多いけど、実はノウハウや人的資産等をすべて含めて「知財」という理解をするべきなんだ。こうしてみると、知財って、経営そのもの、まさに知識創造経営だな。
香澄:ちょっとまってください。頭こんがらがっちゃった。知財とか、知的財産権とか、知識とかいろんな言葉が飛び交っていてよくわからなくなっちゃって。すみません、もう少し教えてください。
藤堂:しようがないなぁ、すみません、渕田さん。
渕田:いいですよ、僕もちゃんと聞きたいし、香澄さんかわいいから許しますよ、あ、これってセクハラ?
香澄:大丈夫です。すみません。
藤堂:まず、一番混合されて使われている言葉からしっかり理解しよう。「知財」ってよく使うよね。これって知的財産の略だけど、この知的財産が狭義の知的財産と広義の知的財産の2つの意味をごっちゃに使っているね。
香澄:狭義と広義?
藤堂:そう、狭義の知的財産とは、図の「知的財産権」のことだね。具体的には、特許権、商標権、著作権等の法律上登録などすることで発生する権利が挙げられる。著作権は登録しなくても発生するけどね。この知的財産権を含めてより広い概念として「知的財産」がある。この知的財産は、知的財産権を含むし、さらに法律上の明確な権利はないけど、法的に保護され得るもの、例えば営業秘密、いわゆるノウハウなどがある。
※諸説あります。
香澄:渕田さんの事業だとどんなものが該当するのですか?
藤堂:新しいお菓子の製造方法なんかは特許の対象だし、商品名は商標、パッケージは意匠、著作権も関係するかな。あと、お菓子の作り方はノウハウとして保護されるケースも有るね。まだまだ挙げていくとキリがないくらいだよ。
香澄:すごい、渕田さんのところのビジネスも知財の塊ですね。
渕田:へへ
藤堂:それで、更にこの広義の知的財産を包括する概念として「知的資産」というものがある。これはなかなか法的な保護はされにくいものだけど、会社にとっては非常に重要なものだ。まずは、人、ステークホルダーとその予備軍の情報なんかがあるね。特に技術者の持っている腕、よく腕がいいといかいうときのあの「腕」をどう引き継いでいくかというのは大きな問題だ。
香澄:へえ、渕田さんの会社でも職人さん多そうですね。
渕田:そうだね、結構大変、職人さんの後継者を育てるのって。
藤堂:そう、「知財」がどういうものか枠組みくらいはわかったかな?
香澄:はい、私、知財っていうと特許をいうと思っていましたけど、知財戦略の知財って、もっと広い人的資産まで含む言葉だったのですね。
渕田:だから、知財戦略って、知的資産までコントロールするようなプランを立てることだね。でもさ、そうすると2つ疑問があるけど、聞いていいかな?
藤堂:もちろんですよ
渕田:1つは、知財戦略の目的はどう設定すればいいの、ってことで、2つ目は、知財戦略はどうやってつくるのかってことなんだけど。
藤堂:じゃ、まずは1つ目から考えていきましょうか!(続く)』
という感じのストーリーはいかがでしょう?いわゆるOJTですね。
私も昭和気質なので、基本は自分で勉強して、あとは実地でというのが考えの基本なのですが、今はかなり考えが変わっていまして、体系的に座学と実地とを組み合わせるべきと考えています。
宣伝になりますが、座学と模擬的な演習とを組み合わせたセミナーも多々行なっております。興味のある方はぜひご連絡ください。
ではでは