試験の答案としての論文

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Last Updated on 2024-02-29 by matsuyama

弁理士試験の最大の山場と言えば、やはり論文試験だと思います。

実は、私は司法試験の勉強もやったことがありまして、弁理士試験→司法試験→弁理士試験と渡り歩いた口なのです。なぜ、弁理士試験から司法試験に鞍替えしたかというと、当時弁理士試験の短答式試験にはゼロ回答というのがありまして、正解肢なしという答えがあったのです。そして、このゼロ回答が本当に嫌で受かる気がしなかったのです。論文答練の点数は徐々に伸びていたので短答に受かればという気持ちはあったのですが……

そんな中、妻が弁理士試験に合格したのをきっかけに司法試験に鞍替えすることにしたのですが、結局担当が苦手なのは変わらでした。論文答練の点数はかなり良くなって合格点を取ったり、優秀答案になったりしたのですが、短答で落ちることを2度繰り返した後、法科大学院がスタートする事になり、法科大学院に入るのに弁理士資格があると有利だよ、と妻に言われ、ゼロ回答が無くなっていたこともあり、弁理士試験に復帰することにしました。

復帰してからは2年で合格したのですが、なんだかんだ長く試験勉強する事になってしまいました。長くやっていたので、その分わからなくていいことまでわかってしまっていることがあります。

それは、試験に合格することはどういうことなのか、試験に受かる答案と試験で高評価を受ける答案との差、そして、落ちる答案はどういう答案なのか、ということです。

いや、それは誰にでも必要なことでは? と思いますか?これらはわかっていないといけないわけではなく、要領のいい人はこんなことわかっていなくても合格します。多分、合格している人の過半数はそういう人です。

でも、こういうことがわかっていないと合格できない人もいます。体感的には合格者の2~3割くらいではないでしょうか?自分なりに合格答案のイメージが出来上がるまでに時間がかかる人ですね。

私は短答式試験で躓いたタイプですが、結局長い事論文書いちゃったので色々分析してしまったというところですが、実は苦労したのは司法試験から弁理士試験に出戻りしたときです。まあ、その話はまた今度で……

試験に受かる答案は、一言でいうと、聞かれていることをだいたい網羅している答案です。これは完全に合格点がつきます。聞かれていることというのは、問われている条文や論点を論理矛盾なくかけているということです。これは書く順番も大きく影響します。

高評価の答案というのは、試験委員(出題者)の問にダイレクトに答えている答案です。しかも、それが条文や論点を散りばめながらストーリーとして語られている答案です。この「問いに答える」というのは深い理解と自分の考えがないとできません。こんなことを初見の問題に対して短い試験時間で行えるのは、よほど深く勉強したところを出されたときで、勉強の進んだ人でも1~2問あればいいところでしょう。

対して、試験に落ちる答案というのは、まず知識不足の答案です。論証が雑だったり、論点を落としていたりして、減点されて合格点に足りなくなってしまうケースです。これはわかりやすいです。

わかりにくいのは、知識はあるのに落ちるパターンですね。これは、書く順番も含めて、論点は網羅されていても、問に答えていないことがあるのです。さらには書かなくていいこと、書いてはいけないことを書いてしまうケースもあります。要は、何が問われているのかをしっかりと把握していないと判断されるケースです。

これを繰り返す人は、本当にしんどいことをしないといけなくなります。特に、昨今パワハラの問題があるので他人はなかなか指摘してくれません。なぜかと言うと、人格に関わることがあるからです。現行の日本の試験に受かるためには、自分のだめなところと向き合わないといけなくなることが多々あります。そして、それば自分の人格的なところを見つめ直して、試験に受かるためで十分なのですが、修正しないといけないことがあります。

私も、良く言えば合理的ですが、非常に面倒くさがりで楽することしか考えない、何かと理由を付けて楽な道ばかりを選ぶところがあったのですが、それを自覚して、地道に隅から隅まで塗りつぶす、そのための合理的な手法を採用する等、鬱陶しいことをやりました。

合格のためには、もっときついことをしないといけない人もいると思います。

こういう日本的な試験のあり方がいいかどうかはいろんな意見があると思います。私見では、どうかな、と思います。しかし、現状に対応するためには、やらないといけません。しかも、今は他人はなかなか指摘してくれません。人格否定になりかねないので。

自分でなんとかしないといけません。

きついですね。受験生のみなさん、ファイト!

ではでは

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