Last Updated on 2014-04-02 by matsuyama
こんにちは、
弁理士松山裕一郎です。
先週ですが、特許庁が職務発明について見直しをしているという記事が出ていました。
著作権のように法人発明の規定をいれることを考えるということなのでしょうか?
画期的ではありますが、発明者はあくまでも自然人だというのが基本だと思いますので、そのあたりの理論構成をどうとるのか興味深いものがあります。
メリットとデメリットを私なりに整理してみたいと思います。
まず、メリットは、一定要件のもとに発明者を法人と擬制してしまえば法律構成が楽になります。もう、発明者が法人ですから、権利移転の問題はありませんし、あとあと発明者から法人が訴えられるという心配も不要になります。
デメリットは大きくは2点でしょう。一つは何と言っても発明者の発明意欲です。発明者としての名誉権もなくなりますから、発明をして特許を取る事よりも論文や学会発表の方に力を入れる人が増えるかもしれません。ここは著作権とちがうところですよ。著作物のように一定の形のあるものならわかりやすいし、そのもの限りということで納得もしやすいと思いますが、発明は思想であって一定の幅を持っているので思想そのものを根こそぎ会社にもっていかれるように感じる人が多いかもしれません。
ここは言いだしっぺが国なのか経済団体なのか知りませんが、あくまでも創作活動を行うのが団体ではなく人なのだということを肝に銘じて制度を考えてもらわないといけないと思います。
2つ目は諸外国との関係です。法人著作と同様の規定を導入すると明らかに諸外国の制度とは異なるものになり、特に欧米の思想とは相いれないものになる可能性があります。
それでも独自路線を歩むのか、しっかりと考えを纏める必要がありますね。
個人的には少し全体主義的な流れが垣間見えて嫌な感じがします。
法改正してもいいですが、真の発明者に対する手当てを厚くする等して個人を大切にすることでいい社会を作るという姿勢を見せてもらえたらと思います。
ではでは
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