知財業界の夢と希望(弁理士の日記念ブログ)

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知財業界の夢と希望というテーマでコラムを書くということを聞いたとき、正直、ネガティブなことしか思い浮かばない自分を再認識してしまいました😢

ちなみに、この記事は、弁理士の日記念ブログ企画2021への参加記事になっています。

知財業界・今昔

私がこの業界に入ったとき、もうかれこれ30年以上前になってしまいますが、その当時は弁理士という職業に夢…もっぱら収入面での夢ですが…がありました。
弁理士の資格者になることで普通のサラリーマンよりも高い収入を得ることができ、資格を取らなくても技術者としてそれなりの収入を得ることが可能であったりしました。
弁理士業を取り巻く周辺産業も盛んで、翻訳、図面屋さん、タイプ入力等などありました。
出願件数も右肩上がり、業界全体が潤うという状態が平成の半ば位までは続いていたのです。

しかし、現状はというと、まず、特許の出願件数は、大袈裟に言うと右肩下がりです。
また、パソコンの普及でタイプの労力は非常に削減され、自動翻訳の精度もかなり向上し、図面もかなりの部分を少ない労力で作成することが可能になっています。また、OAの活用によって、調査や文書作成の労力も削減できるようになっています。これらの事情から、特に中小企業への営業活動においては料金の値下げ合戦のような状況を生んでいる部分があります。
さらに、弁理士業周辺の産業は衰退し、特に外国関係などにおいては弁理士の領分だった部分に翻訳会社や管理会社が参入する等、仕事の取り合いまでも発生しています。

要は、知財業界のうち弁理士業界、特に特許事務所を取り巻く環境としては、夢も希望もない、お先真っ暗な将来が見えてくると考えざるを得ません。

未来への提言?

いやいやいや、ちょっとまってください。
本当にそうでしょうか?
自分で自分に突っ込んでいますが、本当に夢も希望もないというのは言いすぎと言うか考え違いであり、本当は夢や希望に溢れているように感じるのです。

もちろん、前提が2つあります。
上述の「値引き合戦」のような状況は絶対に是正する必要があります。特にクライントが知財に失望する原因になりかねません。なぜ低料金なのか、ビジネスをしっかりとサポートするような知財の取得支援を行うとどの程度料金が上がるのか、目先の料金の高低のみしか見ない人たちにしっかりと説明する責務が、我々弁理士にはあると思います。啓蒙活動を含めて。
また、政策提言をしていくことも必要です。現状では、職域の部分を中心にしたロビー活動をしているようですが(誤解があったら謝罪します)、もっと科学・経済行政に対しての提言を行うことも必要ではないでしょうか?要するに弁理士会主導の技術政策総研のような活動が必要なのでしょう。
こう言える理由としては、例えば、なぜ半導体産業が衰退して、半導体の供給に窮する可能性が今更論じられるのか。隆盛を誇った我が国の半導体産業が衰退したのはもう30年も前のことです※1。しっかりとした技術ロードマップを描けていれば、最低限我が国の需要を賄うための半導体製造会社及びその関連会社については、国策として、保護政策を取ることも可能だったはずです(もちろん競争を促すことをおろそかにしてはいけませんので、バランス感覚と合理性は必要ですが…)。
また、なぜワクチンの生産でこんなに遅れを取るのか。基礎研究への資金援助をおろそかにしているためでしょう※2。基礎研究への十分な資金援助なくして、応用技術は育ちません。もはや我が国は後進国ではなく、先進国の技術を取り入れて高品質の製品を低価格で供給すれば競争力がある国ではなくなったため、他の国にはない技術をマーケットに提示して他国に先んじて利益を得る国となる必要があるのです。それなのに…、ということです。

夢・希望

何が「夢や希望」なのか、ですが、公的なものと、弁理士業界のものとに分けて述べたいと思います。
公的には、とにかく、新しい産業を作り出せる可能性の高い時期にあるということがあると思います。
いまは過渡期です。社会的にも、技術的にも、様々なものが移ろい行くときであると言えます。ネット社会の進展により社会的なイノベーションが起こる可能性も高く、技術の進展も今までとは違った道へと凄まじく早く進歩発展する可能性を秘めています。
そして、知財業界にいる者は、このような変革の真只中に身を置き、様々な立場から、ときには複数の立場で、関わり、決断し、実行するという得難い経験をすることができるのです。そのような役割を担う仕事なのです。
ワクワクしませんか?
これを、夢・希望と言わずして、何をかそれと言うのだろうか、だと思うのです。
それに知財屋の関わる仕事分野もどんどん広がっています。知財の知識経験を生かして、経営を行うのはもちろん、情報発信、開発コンサル、マーケティング等など枚挙に暇がないでしょう。これまでの知財業界人とは違った形でのワクワクが広がっていると思うのです。
弁理士業界、すなわち街の知財屋さんを含めた特許事務所についても、上述の公的な夢や希望はそのまま妥当します。それに加えて、いままでのようなお金の稼ぎ方ではなく、新しいお金の稼ぎ方が出てきています。情報発信をすることで、様々な形での収入を得ることができます。また、関わった製品の販売を自分のECサイトで行うこともできます。クライアントの経営に参画することもできるでしょう。
工夫次第で無限に広がりそうです。やはり、ワクワクが止まりません。

いろいろとぐちゃぐちゃ書いてきましたが、要は、気の持ちようですよね。
ネガティブな要因を論って不安に思うのは簡単ですが、ポジティブな要因を列挙していき、自分にとって有利に進ませるための施策を考えれば、ワクワクが止まらない仕事であるのは確かだと思うのです。知財業界は。
特に、直にお金を稼げる資格を有しているというのは、本当にお金から自由になるための大きな武器ですから、この武器を有効活用して、自分のワクワクがマックスになるように生きる、すごく夢と希望のある話だと思いませんか?
私は、そう思います。

では、また

※1:例えば、「日本の半導体はなぜ沈んでしまったのか?」NEWSWEEK電子版https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2018/12/post-11458.php 等
※2:例えば、「ノーベル賞効果で基礎研究の支援策強化へ」日経バイオテクONLINE Vol.2670 https://bio.nikkeibp.co.jp/atcl/mag/btomail/17/04/25/00205/ 等

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