Last Updated on 2024-11-28 by matsuyama
受験指導をしていて「受験生は意外と趣旨が書けない」と感じます。
加えて、大学で教えていて感じるのは、趣旨を書けというと、趣旨だけを書いてくる人が多いということです。
定義を書いてから、趣旨を書くことで、趣旨が完成するという観念がないのです。もっともこれを説明してもやらない人が多いですが、大学生では。
さて、弁理士の受験に話を戻すと、論文試験の要素としては、知識と形式とがあると思うのですが、知識面はもとより形式面ができていない答案が多いです。
趣旨は
「原則→しかし→そこで」
の流れで書くのが原則だと思います。
しかし、その書き方自体、すなわち「形式」ができていない答案が多いのです。
確かに、趣旨は一言で表すことが可能ですから、一言で書いてしまいたくなる気持ちはわからなくはないです。
問われ方によっては一言で記載すべき問題もあります。
しかし、「趣旨を書け」という問題に対しては、趣旨の説明だけでA4 1ページくらいは記載することになります。
だとすると、コアとなる部分を1行だけ書いても問いに答えていることにはならないですよね。
なぜ、その規定が必要となるのか、いかなる問題点が発生していたのか、重みづけをしつつ説明する必要があります。
要は、形式は、実は内容そのものを表している場合が多いのです。趣旨もそうです。上述の形式を守ることが内容を満足することになるのです。
もっと詳しく説明しましょう。
趣旨のコアとなるのは、「しかし……」の部分、いわゆる理由の部分でしょう。
進歩性なら「新規だからといって全て権利化を許容すると、権利が乱立し、自由発明がなくなってしまい、却って産業の発達を阻害する」という部分になります。
この前提となっているのは、新規な発明は特許になりうるということです。
これが、原則部分ということになります。
さらに遡ると、「発明」に該当するのであれば特許になりうることも言えます。
こうして、原則を説明した上で、「しかし」の部分を説明すれば、よりしっかりとリーガルマインドを伝えることができます。
そして、このような充実した内容を整えるためには、形式を整えることが多いに役立つのです。
換言すると、実は形式を整えることが知識を表すのに必要不可欠なものだと言えるのではないでしょうか?
受験生の皆さん、形式を軽視しないで、がんばってくださいね。
付け足しますと、実はリーガルマインドをしっかりと持つためには「原則」が重要です。
例えば、進歩性だと、「原則」は新規性があることです。新規性がある発明だからと言って全て登録した場合にいかなる不都合があるのか、そこが「しかし」に書くべきことです。
趣旨が苦手だと思う人の多くは、この原則を理解することをおろそかにしているのではないかと思います。
全てのことはストーリになっています。法律の条文は一つ一つがストーリーです。物語を楽しむように法律を学んでみるのもいいのでは?
ではでは