弁理士松山裕一郎の知財情報発信ブログ

ハウス食品の「のっけてジュレぽん酢」第2回

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       知財マーケでビジネスUP↑

           ―――  第6号  ―――  

こんにちは、発行者のアステックIP Solutionsの代表、弁理士の松山です。
   
毎回ヒット商品や特徴のあるプロジェクトを取り上げ、現象分析と知財形成のプロセスを各事例、2回にわたって紹介していきます。

今回は、ハウス食品の「のっけてジュレぽん酢」第2回です。
液体調味料を固形物にするという発想からどのように知財の創出、活用・維持がなされるか考えます。

■知財について   
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ここで「知財」とは、単に知財権のみを意味するのではなく、知的資産全般を意味します。
   
(1)知財の創出   

この「のっけてジュレぽん酢」の事例において、創出された新しい知識はどのようなものだったのでしょうか?
まずは、液体調味料だったポン酢をゼリー状という固形物にした点があります。また、ゼリーに対して「ジュレ」という一般的には耳慣れない言葉を使ったこともあるでしょう。この他にもさまざまな新知識は創出されていると思いますが、ここではこれらの2点に絞って考えてみたいと思います。

まず、前者についてですが、当社のアセットはどうだったかというと、当社は「冷しゃぶドレッシング」という独特の調味料を有しており、しかもゼリー状の調味料の開発経験もあります。

つまり、ゼリー状の調味料を開発するノウハウと新しい味の調味料を開発するノウハウのいずれをもアセットとして持っていたと言えます。

ここで、当社のすごいところは、「既存の液体調味料であるポン酢」に対する消費者の不満という情報を、新知識に転換している点です。
ポン酢に対して野菜に絡みづらいという不満を聞いて、ゼリーならこの不満を解消できるかも、というのは後から聞くとすぐに思いつきそうですが、実際にはなかなかそうはいかないと思います。当社では、このような消費者の不満の声と自社のもともと有していたアセットとを結び付けて、ゼリー状のポン酢を作り出したわけです。

次に後者ですが、このネーミングがどこから生じているのかはよくわかりません。しかしこの商品の特徴をしっかりと言い表したネーミングだということは言えると思います。パイオニア的な商品でネーミングによるブランド化を考えた場合に、その商品の特徴がわかりやすいネーミングを行うというのは必須でしょう。
消費者が未だに見たことのない商品ですからその商品の特徴を商品名に組み込んでしまえば消費者への浸透が早くなりますから。


(2)知財の活用   

この商品は特別なビジネスモデルの確立は不要な感があります。
確かに、旧来の販売ルートに乗せて販売すればいいだけです。

しかし、この商品も提案型の商品であって消費者に参加してもらうことにより商品のマーケットを拡大しようという意図があります。
その一つがレシピの開発とホームページへの掲載です。

でもこれよりも重要なのがパッケージの記載です。パッケージには「のせる・からめる・メニュー広がる」と記載されており、絵もブロッコリー、豆腐、とんかつが描かれています。

要するに、従来のポン酢のようにお鍋に使うだけという狭い用途ではなく、使う人の創意工夫で新しいポン酢味を利用した料理を作ってもらい、それによりマーケット拡大を狙っていると言えます。
このように、知財の活用には新しいビジネスモデルの確立の他、新しい市場を如何にして築きあげるかということも重要なテーマだと言えます。


   
(3)知財の維持   

特許出願は出されていないようですが、この商品の場合には「のっけてジュレ」というネーミングによる「ブランド化」に着目すべきでしょう。

ゼリー状のポン酢としては当社のこの商品がパイオニアだったわけですが、パイオニアであることの利点をよくわきまえたネーミングであり、「ゼリータイプの調味料」を示す言葉として「ジュレタイプ調味料」という言葉が定着しているようです。
(株)富士経済のHP上でも「ジュレタイプ」で紹介されています。

まず第1段階は成功と言える知財維持活動だったと思います。

問題は、ジュレタイプがたくさん出てきたときに消費者がハウス食品のものを手に取るかどうかです。この点は弱いかもしれません。

「のっけてジュレ」というネーミングはジュレタイプという普通名称に埋没してしまい、他との違いを明確に表せないように感じられます。
もう一つ消費者の間に他とは違うという印象を植え付けるようなネーミングやキャラクターを付ける必要があるのではないでしょうか?

【参考URL】
http://j-net21.smrj.go.jp/develop/foods/entry/2012030201.html
(J-NET21:「のっけてジュレ」)
http://president.jp/articles/-/7230
(PRESIDENT Online:ハウス食品「のっけてジュレ」大ヒットの作り方)

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         弁理士 松山 裕一郎
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