Last Updated on 2013-04-12 by matsuyama
◆◇◆―――――――――――――知財マーケでビジネスUP↑――― サンプル号 ―――
こんにちは、アステックIP Solutionsの代表、弁理士の松山です。
知財形成に関するメールマガジンを始めることになりました。
ヒット商品や特徴のあるプロジェクトを取り上げ、現象分析と知財形成のプロセスを各事例、2回にわたって紹介していきます。
今回は、徳島県勝浦郡上勝町にある株式会社いろどりの「葉っぱビジネス」を取り上げます。
映画にもなりましたのでご存知の方も多いでしょう。
○株式会社いろどり(全2週)~第1回~
■現象と分析
(1)現象
徳島県上勝町は人口1,997人、高齢者比率49.5%の過疎化と高齢化が進む町ですが、一方で地域活性化型農工商連携のモデルとなっています。といっても、ずっとモデル地域に指定されるようなビジネスを行えていたわけではなく、1980年代には、それまでの主要産物であった木材や温州みかんなどが輸入自由化や産地間競争、局地的寒波により大きな打撃を受けたため、結構大変だったようです。
しかし、これらの出来事を経て、農業再編成に取り組んだり、季節的要因の少ない椎茸に注目するなどして、それなりに健闘していたということですが、なにがよくてモデル地域になったかというと、高齢化・過疎化が進む町にあってお年寄りが活躍できるビジネスを模索し、
「つまものビジネス」=「葉っぱビジネス」
をスタートさせたことがよかったのです。
この「葉っぱビジネス」は1987年にスタートしたものです。
日本料理を彩る季節の葉や花、山菜である「つまもの」を、「葉っぱ」として販売するのが「葉っぱビジネス」で、このビジネスのポイントは、「葉っぱ」は軽量かつ綺麗なため女性や高齢者でも大量に扱うことができる商材であるということです。
今では、年商2億円、稼ぐ人は年1000万円稼ぐそうです。やりがいを感じるのでしょうね。
スタート当時は、今のようなネット環境はありませんから、当然FAX等を駆使していたのですが、
現在では、PC(ブロードバンド・ネットワーク)を駆使することで、おばあちゃん達が自ら全国の市場情報の収集・マーケティングを行い、葉っぱを出荷するという、とても進んだビジネスモデルを構築しています。
(2)分析
「葉っぱビジネス」の始まりは、現在、株式会社いろどりの代表取締役を務めている横石氏が農協職員だった頃、大阪の料理屋に立ち寄り、出された料理を彩るためにつまものが添えられているのを見て、
『そうだ、葉っぱを売ろう』
と直感したのがきっかけだったということです。
自分のところにある資産(アセット)をよく理解していたし、その活用方法を絶えず考えていたのでしょう。
しかも、横石さんのすごいところは、「つまもの」という堅い言い方ではなく、「葉っぱ」という一般の人々に馴染みがある表現を使ったことです。これによって、ビジネスそのものに関心を抱かせることに成功したといえるのではないでしょうか。
一人の農協職員の直感に端を発した「葉っぱビジネス」ですが、町の半数を占めるお年寄りに自らの生き甲斐を与えることになり、上勝にIターン、Uターンしてくる若者も増え、地域の活性化にもつながる等、過疎化が進む町の活性化に大いに貢献しています。
このビジネスのすごいところは、単に儲けが出るというだけでなく、地域社会の活性化に成功している点でしょうね。
さらに、おばあちゃん達が自ら市場調査やマーケティングを行い、自分が町で何番目の売り上げを上げているのかわかるようにすることで、高齢者の他かによい刺激を与えているということです。
本当にそうなのか?という一抹の疑問はありますが、これもアセットをよく理解しているからなのではないでしょうか?
高齢者であっても新しい先進的なものを使いたいとか、競争意識は当然あるでしょう。そういう地域社会で生活する人の意識や特徴をよく理解して活用したことも成功の要因なのではないでしょうか。
次回は、これらのことを知財創出、活用、保護の観点で見ていきたいと思います。
【参考URL】
株式会社いろどり
映画『人生、いろどり』公式サイト
■次回のメルマガ
次回は、株式会社いろどりの「葉っぱビジネス」の知財形成のプロセスについてです。
「つまもの」=「葉っぱ」という発想がいかにして知財形成と関わっていくのか、紹介していきます。
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