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―特許実務講座・第1段階より―第6回:ジェプソンタイプの明細書の書き方

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Last Updated on 2026-02-26 by matsuyama


ジェプソンタイプは、日本の特許実務で非常によく使われるクレーム形式です。
日本語との相性がいいことのでしょう。

ジェプソンタイプは、既知技術等の基準部分(プリアンブル)に新規の特徴を加えることで、発明の特徴部分を明確に示すことができます。
ですので、この特徴部分を強調して明細書を記載することが可能になります。
今回は、このジェプソンタイプに対応した実施例の書き方を解説します。


目次

ジェプソンタイプとは?

ジェプソンタイプは、クレームの前半に既知技術(プリアンブル)を記載し、後半に新規部分を記載する形式です。

基本形①:
A、BおよびCを具備してなるXであって、Cが…であるX。
基本形②:
A、BおよびCを具備してなるXにおいて、Cが…であるX。

「であって」はプリアンブルを公知としない形式、「において」はプリアンブルを公知と認める形式とされます。


明細書に記載すべき要素

ジェプソンタイプでは、以下の要素を意識して記載します:

  • プリアンブル部分の簡潔な説明→「おいて」の場合は簡潔に「…は公知の技術である」旨の記載が可能になります。
  • 新規部分の詳細な構成・作用・効果
  • 既知技術との違いを明確にする記述
  • 全体の使用方法と製造方法(必要に応じて)

椅子の例で考える

クレーム例:
座部、脚部および背もたれ部を具備してなる椅子において、
背もたれ部が上方に向かって幅広となるように構成されている椅子。

このクレームに対応する実施例は、以下のように構成できます:

① プリアンブル部分の説明
本実施形態の椅子1は、座部10、脚部20、背もたれ部30を備えている。
座部10は矩形状で、脚部20は四角柱状で座部の四隅に配置されている。
これらの構成は従来公知の椅子と同じであり、これらの他に従来公知の椅子の構成が、本発明の趣旨を逸脱しない限り特に制限なく採用可能である。

② 新規部分の詳細記載
背もたれ部30は、座部の一辺から上方に延設されており、上縁に向かって徐々に幅が広くなるように形成されている。
この構成により、背中全体を包み込むように支持でき、使用感が向上する。

③ 使用方法と効果
使用者は座部に腰掛け、背中を背もたれ部にもたれかけて使用する。
背もたれ部の形状により、背中の保持性と快適性が高まる。


実務上の注意点

  • プリアンブル部分は簡潔に(公知技術なので冗長にしない)
  • 新規部分は詳細に(構造・作用・効果を丁寧に記載)
  • 既知技術との違いを明示する(比較や改善点の記載が有効)
  • 「であって」か「において」かで記載の深さを調整する

まとめ

ジェプソンタイプでは、「既知技術の簡潔な説明」と「新規部分の詳細な記載」のバランスが重要です。発明の従来技術との差異を明確に伝えることで、審査官への訴求力が高まり、権利化の可能性も広がります。

次回は、マーカッシュ形式の明細書の書き方を解説します。化学分野特有の群構成の記載方法を、実務的に整理していきます。

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この記事を書いた人

特許事務所での実務を活かして、知的財産にまつわるあれこれをご紹介していきます。

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