Last Updated on 2019-11-26 by matsuyama
こんにちは。アステック特許事務所 弁理士の松山です。
特許法の一部改正によって、現行の制度がすこしだけ変わります。
今回は、そのうち意匠について簡単にご説明しますね。
そもそも意匠とは、形あるものの外観のことをいいます。意匠法では「 物品(物品の部分を含む。)の形状、模倣若しくは色彩又はこれらの結合であって、視覚を通じて美感を起こさせるもの 」という定義がされています。
砕けた言い方をすると、ぱっと見て「きれいだなあ」「使いやすそうだなあ」という気持ちになるもののデザインを保護しようというところでしょうか。様々な製品の「見た目」も保護することで、産業の発展を支えることが意匠法の目指すところです。
この意匠法ですが、これまで意匠権が認められる要件は以下のようなものでした。
・工業上利用可能性:製品を大量生産できること
・新規性:既存の意匠と類似していないこと
・創作非容易性:容易に創作できた意匠ではないこと
・不登録事由(がないこと):公序良俗に反していないことや、その製品であるために必然的なかたちではないこと
・先願主義(を満たしていること):最も新しい意匠であること
・一意匠一出願:一つの意匠につき一つの出願という手続きを満たしていること
この工業上利用可能性、工場などで大量にライン生産できることがこれまでは要件のひとつだったのですが、ここが少し変わります。
改正される意匠法では、「建築物やその内装」にまで権利適用の範囲が広がります!
より多角的なアプローチで自社ブランドを守る手立てが増える、ということになりますね。
また、その保護期間もこれまでは「意匠登録から20年」であったものが「意匠出願から25年」に延長されます。より長く権利が保護できるようになるので、例えば商標や特許など複合的に権利を取得して、さらに意匠権も取得することで堅牢で長い価値の保護を図ることができます。この間に製品やブランドを少しずつブラッシュアップして再度各知財権の出願をすることで、より長期にブランドの技術や名前、外観を保護することもできます。これからどんな意匠が新しく認められるのか、楽しみですね。

