知財コンサル研究(1)

この記事は約2分で読めます。

Last Updated on 2013-04-05 by matsuyama

 特許等出願に伴って必要なコンサルティングについて、
「事業戦略を理解して出願戦略を立てられるかどうかが求められるようになると思う」と書きました。
これについては、特許(実案、意匠)と商標とで違う判断が必要だと思います。特許においては、クライアントの事業戦略がどのようになっているのかを考えて明細書を記載する必要があるということです。

こんなことはすでにやっているという弁理士が多いかもしれませんがほんとうにそうでしょうか?
よく見かけるのですが、明細書を書くときに「発明者の書いてきたことに新たな知見や変形例を入れなくてはいけない」という趣旨のことをいう人がいます。

これは一見妥当なように聞こえるのですが、私は危険だと思っています。
確かに、明細書を作成する際(発明者にインタビューする際)には、発明者の考えた発明の本質が何なのかを発明者の記載した文章や実施例等から導き出し、適切な範囲で保護できるようにクレームや明細書を作成するのが、明細書作成の基本だと思います。
上のカッコ書きのようにして明細書作成を行うと、発明者の考えた思想を超えてまたは外れて、弁理士が発明してしまう可能性が大きいと思います。違いは、頭から発明者の書いたことを修正して明細書を作成することを前提としている点です。

カッコ書きのような作成指針に則って明細書を作成すると、当初クライアントで考えていた事業戦略に応じた発明の範囲を弁理士が変更してしまうことになってしまいます。大会社であれば知財部がしっかりしていて弁理士には代書屋としての仕事をしっかりとすることを要求しているので問題は生じないのでしょうが、中堅規模以下の会社だとそうはいかないと思います。弁理士先生がいうことは正しいのだろうと思って従ってしまうためです。ミスリードする危険が大きいのです(かくいう私にも経験がありますが・・・反省しています)。

そうだとすると、中堅規模以下の会社であっても事業戦略と知財戦略に対する見識が増すとカッコ書きのような仕事をする弁理士には仕事をたのまなくなるように思うのです。

やはり弁理士はコ-ディネーターに徹しないと・・・・

タイトルとURLをコピーしました