形式的に侵害

この記事は約2分で読めます。

Last Updated on 2013-04-04 by matsuyama

この間の記事で「桜」と書いたのですが、もしかしたら梅かもしれません。
桜並木の端にあったのでてっきり桜だと思っていたのですが、写真を見てわかる方いらっしゃいましたら教えてください。

さて、「形式的に侵害する」という文言を論文の答案で良く目にします。
侵害の定義を書いたあとに、当てはめの段階でよくみるのですが、誰が書き始めたのでしょう?
商標における判例の研究結果として「形式的には登録商標と同一または類似の標章の使用であっても、当該商標が、自他商品識別機能を果たさない態様で用いられ、あるいは指定商品・役務とは非類似の商品・役務との関連において用いられて、指定商品・役務またはこれに類似する商品・役務の商標として使用されていない場合には、商標権侵害を構成しないと解されている。」ということはあります(大渕哲也等著「知的財産法判例集」有斐閣2006、171頁)。
要は侵害の定義をすべて満たしてしまう態様であっても、商標の保護法益を害しないのであれば侵害と認めるべきではないと考えられる場合に「形式的」と言っているだけです。
これに対して、今の受験界では、侵害の定義をざっくりと①登録商標等の使用と②抗弁事由の不存在とに分けた場合に、①の要件だけ満たしていれば「形式的に侵害する」と言ってしまっています。

この書き方は、特許や意匠でも行われていて、受験生の間では、本質の理解がないままに、単に「要件①を満たせば形式的に侵害する」ということが常識化してしまっています。

しかし、このような書き方をしているがために、混乱した答案を書く人が多く、肝心の商標的使用であるか否かの認定においてめちゃくちゃな答案になってしまっています。

「形式的に侵害行為を構成する」という言い回しは、商標的使用に該当するか否かの時に取っておいて、通常は単に「・・・・より、要件①を満たす。次に、要件②について検討する。この点・・・・・」とすれば良いのではないでしょうか?

この点については少し掘り下げてみたいと思います。

ではでは

タイトルとURLをコピーしました